22歳のホーム
22歳の春、友達が就職で地元を離れることになりました。
引っ越しの準備や新しい生活の話を聞きながらも、どこか実感が湧かないまま、その日を迎えました。
最後に駅まで見送りに行きました。改札前は思っていたよりも明るく、いつもと変わらない風景でした。友達は大きなバッグを肩にかけ、「また帰ってくるよ」と笑っていました。その笑顔があまりにもいつも通りで、こちらも「そっか、またな」と軽く返してしまいました。
電車がホームに入り、ドアが閉まり、ゆっくりと動き出します。窓越しに手を振り合いながら、まだどこかで“続き”があるような気持ちでいました。
けれど、電車が見えなくなった瞬間、駅が急に静かになりました。さっきまで隣にいたはずの存在がいない。その現実が、遅れて胸に落ちてきました。
帰り道、一人で歩きながら、もう気軽に会えない距離になるのだとようやく分かりました。連絡を取ろうと思えば取れる時代です。それでも、同じ街で、同じ空気の中にいるという安心感は、もう戻らないのだと知りました。
別れというのは、泣き崩れる瞬間よりも、そのあとの静けさの中でじわじわと形になるものなのかもしれません。春の風が少し冷たく感じられたのを覚えています。
<編集追記>
しまいきれない春の想い出は、走り去った電車の音とともに胸に残るのかもしれません。サブクロに預けるのは荷物でも、あの日のホームの静けさは、きっとこれからも心のどこかに置いたままなのかもしれません。
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引っ越しの準備や新しい生活の話を聞きながらも、どこか実感が湧かないまま、その日を迎えました。
最後に駅まで見送りに行きました。改札前は思っていたよりも明るく、いつもと変わらない風景でした。友達は大きなバッグを肩にかけ、「また帰ってくるよ」と笑っていました。その笑顔があまりにもいつも通りで、こちらも「そっか、またな」と軽く返してしまいました。
電車がホームに入り、ドアが閉まり、ゆっくりと動き出します。窓越しに手を振り合いながら、まだどこかで“続き”があるような気持ちでいました。
けれど、電車が見えなくなった瞬間、駅が急に静かになりました。さっきまで隣にいたはずの存在がいない。その現実が、遅れて胸に落ちてきました。
帰り道、一人で歩きながら、もう気軽に会えない距離になるのだとようやく分かりました。連絡を取ろうと思えば取れる時代です。それでも、同じ街で、同じ空気の中にいるという安心感は、もう戻らないのだと知りました。
別れというのは、泣き崩れる瞬間よりも、そのあとの静けさの中でじわじわと形になるものなのかもしれません。春の風が少し冷たく感じられたのを覚えています。
<編集追記>
しまいきれない春の想い出は、走り去った電車の音とともに胸に残るのかもしれません。サブクロに預けるのは荷物でも、あの日のホームの静けさは、きっとこれからも心のどこかに置いたままなのかもしれません。