教習所で背中を押してくれた人

(鶴見区 50代 男性)

学生時代、初めての一人暮らしを始めた春のことです。
実家を離れ、知らない街での生活は、思っていた以上に分からないことだらけでした。ゴミの出し方から公共料金の支払いまで、何をするにも手探りでした。

そんな中、バイクの免許を取りに行こうと決めました。移動手段が欲しかったのと、少しでも自分に自信をつけたかったからです。けれど、教習所の門をくぐった瞬間、不安が一気に押し寄せました。周りは慣れているように見えて、自分だけが取り残されている気がしたのです。

そのとき、同じ学校の先輩が声をかけてくれました。「大丈夫やで、最初はみんなそんなもんや」と笑いながら、手続きの流れやコツを一つひとつ教えてくれました。教習の合間にも、「肩の力抜いてな」と何度も声をかけてくれました。

その言葉に、どれほど救われたことか分かりません。技術だけでなく、不安な気持ちまで軽くしてくれたのだと思います。
おかげで無事に免許を取ることができました。免許証を受け取ったとき、うれしさと同時に、先輩への感謝が込み上げてきました。

一人で頑張ったように思える出来事でも、振り返れば、誰かの支えが必ずあります。あの春、先輩がいなければ、途中であきらめていたかもしれません。

今でもバイクに乗るたび、あの教習所の匂いと、先輩の声を思い出します。新しいことに挑戦する不安と、それをそっと支えてくれる人の存在。その両方が、あの春の記憶として残っています。


<編集追記>
しまいきれない春の想い出は、こうして背中を押してくれた誰かの声とともに残るのかもしれません。サブクロに預けるのは物でも、あの日受け取った勇気は、これからも心の中で走り続けていくのでしょうね。
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